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久々の



代中ノ回  アンゲル
 
 俺の家族、つまり闇風家は当然父と母がいて、俺―竜―、妹―龍華―となっているが、龍華がまだ胎内にいた頃は、俺の上にもう一人いた。
 姉がいたのだ。
 名を霧画という。
 当時、俺が十歳で、霧画は十二だった。十四年経つので、もし霧画が生きていれば二十六になっていた筈だ。
 霧画は死んだ事になっている。
 ある時、俺と一緒に行方不明になったのだ。
 二人だけで、あの暗い、まるで闇に包まれた暗黒そのモノのような所で――――。

「オッケ。全員揃った」
 例の病院の前に全員集合。
「あっそ。俺は病院の周辺ウロウロしてっから、何かあったら呼びな」
「一緒にいかないの!?」
「当然。俺は暗所恐怖症なんだよ」
「そうだった。オッケ、んじゃ、万が一何かあった時だけ来てちょーだい」
「そうさせてもらうよ」
 そう言って、龍華率いる一団は病院へ入って行った。
「何も無ければいいんだがな」
 兎に角、俺は病院の裏へ回ってみる。
「…………」
 何か、ヤバいモノ見つけた
 古い井戸。
 ただの井戸であれば、それは『病院を造る時に、取り壊さずにそのままにされた井戸』だろう。
 しかし、これは違う。
 井戸に、人骨が腰かけていた。
 ボロボロの衣服を纏って。
 井戸を覆う屋根を支える柱を背もたれにして。
 まあ、確かにビビるが、下手に近づいたり触らなければ大丈夫だろう。
 火事の時にここまで逃げたが死亡。それ以降ここにずっと腰かけていたのだろうか。
「――――」
 俺は一応、手を合わせた。
 ご冥福をお祈りお祈り致します。
「しかし、警察が入った時に何で回収されなかったんだ? やっぱ、今から警察に連絡した方がいいのか」
 警察に届けた方が良いにせよ、悪いにせよ、それは後だ。
 今は行方不明の子の捜索が先決――――
「!」
 俺が踵を返そうとした瞬間だった。
骸骨が立った。
「な!」
 骸骨はゆっくりと距離を縮める。
「丁度良かった」
 喋る!? こいつ、喋ったぞ!!
「ビビるな人間よ。我はこれでもとある一団の長だ」
「一団の長?」
 外国軍団か何かの団長か?
「我は古より【闇封石(ヤミフウノイシ)】を探す探索隊、『アルベイン』の長なり」
 何なんだコイツ? アルベイン? 闇封石? 何の事だ?
「ちょ、待て。何が起こってるのかさっぱり分からん。何故骸骨なんだ? 古よりって何時からだ?」
「現代の人間はあの頃を知らんのも仕方がない事。一から説明しよう。長くなる故、お主の家へ案内せい」
 俺の家だと!? まあ、誰もいないからいいけど。
「仕方ない。少し待ってくれ」
 俺は携帯を取り出し、龍華に『用事が出来たので先に帰る』とメールした。
「おお! 知っているぞ! それは確か、ポケベルという奴だな! 西洋の人間どもも使っていたな!」
「違うわ! 携帯電話だ! ポケベル何か俺も見た事ねぇよ」
 ! しまった。何時も龍華に突っ込んでいる癖で、骸骨に突っ込んでしまった。
「違うのか? 我にはさっぱど分からん」
 コイツ、方言と標準語が混ざってやがる。東北辺りで日本語学んだのか?
「兎に角、妹に連絡しただけだ。俺ン家行くんだろ? ついて来いよ」
 そのご、成るべく人目につかない様に、家々の間や、マンションの裏などを通って、やっと自宅のある通りに出た。
 あとは此処で誰にも出会わない事を祈――――
「あら、お散歩?」
 近所のおばさん登場!!
 ヤバい、この骸骨見られたら騒がれる!
「この位の時間は夕日が奇麗よねぇ。じゃあね」
「え、ええ」
 !?
 骸骨が見えないのか?
「何をビクビクしている。我はお前以外の人間には見えないぞ」
 !
 なら早く言えよ!
 見られまいと滅茶苦茶遠回りしたってのに!!
「はぁ、まあいい。ここが俺ン家だ」
「ほぅ。これがあの縦穴式住居というやつか?」
「違うわ! いったい何時の話をしてるんだ!! 縦穴式住居なんかもうねぇよ!」
 コイツの知識はどうなってんだ?
 





―リビングにて―
「では、話すとしようか」


「――――今が2011年か? ならばあれはもう7000年以上昔となるか。
 かつて、今で言うヨーロッパ辺りには『ゴールドグラウンド』と呼ばれる広大な平野があり、その平野の上には『ドライトレノン』という王国が栄えていた。
 ドライトレノンの国王は代々、【闇封石】を守っていた。この闇封石はこの世のバランスを確実に安定に保ち続けるモノで、これが国王の玉座から外されれば、世界は不安定化する。
 そしてある時、その闇封石が突如として失われたのだ。
「あ? それでも7000年以上世界は存続してるじゃないか」
 不安定化するのであって、直接、すぐに滅びるような事はない。
 この世界は今、バランスが崩壊する寸前まで来ている。
 我々アルベインは、その闇封石を探すように国王に命じられたのだ。
「骸骨のお前にか?」
 我々は『病谷』で死と生のバランスを保つ役目を担う死神なのだ。
 闇封石を扱えるのは我々死神と、王家の血を引く者のみ。
 王家のモノは、世の混乱の末、行方不明になった娘を除いて全員殺され、我々が探す事を余儀なくされたのだ。
「それであんた等が」
 そう。
――――と、こんな感じだな」
「成程。んで、何でお前が俺にそんな話をするんだ」
「うむ。アルベインも私以外、皆力尽きた。私ももう限界だ。そこで、お主に仕事を継いでもらいたい」
「あ! 俺がその石を探すのか!? 7000年も探して見つからないモノを探すのか!?」
「世界は日々変わる。大きさは1㎝ほどの球状の闇封石をこの広い世界から見つけ出すのは困難極まりないのだ! しかし、諦める訳にはいかないのだ! こうしている間にも、この世界は崩壊への一途を辿っている! 今までにバランスの不安定である【闇】に何人も呑まれた! これ以上被害者は出せないのだ! 我々の仕事を受け継いでくれ!」
「だけど、俺にどうしろと? 一般の大学生だぜ? 出来る事なんて限られてる」
「心配ない。お前には私の力を与える。その力を使って闇封石を探すのだ」
「待て! 力があるならお前がやればいいだろ!」
「私にはそれを使うだけのエネルギーがないのだ。今出来ることと言えば、力を他者に譲る事と、人間の体を乗っ取り、力を継いだ者に同伴する事くらいしかないのだ!」
「俺以外に適任はいないのか?」
「ああ。闇に呑まれたお前だからこそ適任なのだ」
「! 俺が闇に呑まれた事しっているのか?」
「ああ。だから『丁度良かった』のだ。私の能力は通常の人間では扱えないが、一度闇を体験した者には扱える。そして、この世で闇に呑まれ、この世に戻ってきたのはお前一人。お前以外に適任はいないのだ」
 く…………。
 大学生活を捨てるか……。
 まぁ、それもいいか。
 ただ大学言って勉強して、誰の役にも立てないのなら、こうやって世界を救うってのもいいかもしれんな。
「……分かった。継ごうじゃないか」
「ありがたい! 恩にきる」
 言って、骸骨は、俺の肩に手を置いた。
「ぐ!」
 身体の中に力が流れ込んでくる。
 まるで、滝が肩に当たる様だ!
 骸骨が俺の方から手を離した瞬間、俺はその場に座り込んだ。
「大丈夫か」
「ああ。何だこれ!? 力が漲ってくる!!」
「どうやら力移しは成功だな。次は私の番だ」
「お前も何かやるのか?」
「私は、お前と共に闇封石探しの旅をする為の身体が必要だ。力をお前に移した以上。今の身体は長く持たない」
「身体って? 生きてる人間のだろ? 商店街へ行けば沢山いるだろ」
「案内しろ」
「おk」
 ―商店街『草原通り』―
「・・・・」
「どうした?」
「ムサイ男ばかりじゃないか」
「お前、もしかして女なのか!?」
「そうだが、何か問題あるか?」
「いや、見た目からは全く分からなかった」
「だろうな。ん、あの小娘がいいな」
 骸骨女が眼をつけたのは女子高生だった。
 帰宅中の、携帯電話をイジリながら歩いている女子高生。
「うん、あれにしようか。あのポケベルいじっている小娘」
「だから携帯電話だっての」
「まぁいい、少し待ってろ」
 骸骨女は、素早くその女子高生に近寄り、女子高生の腹目掛け、ジャンプした。
「!」
 そして、骸骨女はそのまま女子高生の身体に入った。
「くはっ」
 女子高生は携帯電話を落とした。
「・・・・」
 沈黙。
そして、そっと携帯電話を広い、それを物珍しそうにジロジロ見ながら俺の方へ寄って来た。
「どうだ? 良い身体だろ? この容姿であれば、旅でつかれたお主を癒す事もできるだろう」
 うわぁ、女子高生がこの話し方だとめっちゃ違和感あるなぁ。
「だけどよ、いいのか? 絶対失踪届だされるぞ」
「構わん。私がこの身体を得た時点で、この身体の元持ち主は存在しなかった事になっている」
「そんな独裁スイッチみたいな効果があるのか」
「どんくさいスイッチ?」
「のび太よ同じ間違えするなよ」
「誰だそ奴は?」
「いや、漫画の話だ」
「まぁいい。兎に角、服を用意せねば」
「別にこのままでも良くないか?」
「私が良くない。こんな風に足を晒すような恰好は嫌だ」
 ああ、もろミニスカだもんな、それ。
「服か……。服屋か……」
 近くにあったか? 
「少し待ってくれ。今探すから」
 携帯を取り出し、この付近に服屋(ユニクロとか)ないか検索してみる。
「駅の近くに大規模服屋があるそうだ。行ってみるか」
「そうしようではないか」
 駅の道中、神社で祭りが開催されていたので、そこで焼きトウモロコシを買って、二人並んで食べながら歩いた。
「ってか、お前名前あるのか?」
「私か? 私の名前は、えっと、確か……」
 少し考えてから、骸骨女(今はちゃんとした身体があるので実際は違うが)は言った。
「アンゲルだったか」
「アンゲル? ドイツ語と英語の天使がごっちゃになった様な名前だな」
「当然だ。今のヨーロッパで使われている言語は、ドライトレノンで使われていた言語が派生して出来たモノだからな」
「そうだったのか、元は同じ言語だったのか」
「そうだ。というか、私もお前の名前を聞いておらんぞ」
「あ? そうだっけ?」
「そうだ。私も名前を教えたのだ。貴様も教えるのが筋だろう」
「確かに。俺の名前は龍だ」
「龍……格好いい名前ではないか」
「褒めてくれてありがとよ」
 等と話しているうちに、目的の店に着いた。
 店の看板には『安心と安全の作業服からお洒落な洋服まで何でも揃っています!』と書いてある。
「……にしても、広いなこの店」
 世界中の服がここにあるのではないかと思うくらい大量の服が棚に陳列されている。
「どれもヒラヒラしたモノばっかだな。もっとこう、うごき易くて鬱陶しい飾りが無いのはないのか?」
「シンプルなやつって事か? だったら……」
 ツナギとかジャージか。なら作業服売り場だな。
 作業服売り場へ向かう途中(服屋なのに何故か)ある日曜大工用品売り場で、使えそうなモノ(アンゲル曰く、護身用)、つまりナイフや折り畳み式鋸、ロープ等々を買い揃えた。
「そうか、この国では拳銃の所持が許されておらんのか」
 等と云いつつ、アンゲルは電動ドリルを持って銃の構えを披露する。
「向こうの国、特に西部での撃ち合いは迫力はったぞ」
 そりゃそうだろ。コイツの言うアメリカもかなり前だろうし、そのころの西部ってマグナムぶら下げて酒場で撃ち合いやってた時代じゃねえか。
「まぁ、銃なんぞ、ドライトレノンの国衛騎士団には通用せんがな」
「騎士団?」
「左様。ドライトレノンを長年守っていた騎士団だ。闇封石が失われ、混乱が起こる前は難攻不落の騎士団と言われていたモノだ」
「へぇ、そんな強いのに国が滅んだんだ」
「まぁ、噂では騎士団が国を裏切ったとも言われているからな。また、騎士団の団長が失踪したという噂もあったな」
「噂なのかよ」
「私はその時、既に闇封石を探す旅を始めていたのだ。まさしく、風の噂程度の事しか知らん」
「あっそ」
「そうだ。ところで服はどこにある? 現代人はこの売り場にあるモノを使って自分で服を作るのか?」
「そんな訳あるか! ここは日曜大工用品売り場だ! 服は向こう!」
 全く。コイツはどうにも 現代 を理解していない。
 んで、作業服売り場。
「おお! これなんかいいではないか!」

 代中ノ回  終


どうでしたか? 久々の更新(小説記事に関して)でっせ!!
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Date: 2011.08.24 Category: 百物語  Comments (0) Trackbacks (0)

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