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小説

長いけど読んでね
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百物語
作 妖幻

第一ノ怪 ループ階段
 学校7不思議を耳にしない人間なんていないだろう。誰だって自分の学校の怪談を1つや2つは聞いたことあるだろう。
 俺の学校にもある。中央第2中学。通称、第2中。ここにもある。
 一番有名なのは『永遠階段』と呼ばれる北校舎3階から屋上へと続く階段の怪談だろう。駄洒落じゃない。
話はこうだ。
『 この屋上へ続く階段はやけに長い。途中に踊り場が幾つかある程だ・・・・。何段も何段も上り続けていたので、流石に疲れた。私は文化部だし、生まれつき身体も弱いので、すぐに体力が無くなって疲れてしまう。途中、踊り場の2段手前に腰掛けて休む事にした。この踊り場を超えて、数段上がれば屋上に着く。さて、もう一踏ん張りだ。私は、腰を上げて再び階段を上り始める。1段、2段、と順々に・・・・。
 上り始めて少しすると、踊り場が見えてきた。その踊り場に上る前に、少し休む事にした。生まれつき身体の弱い私は、すぐ体力が無くなって疲れてしまうのだ。踊り場の手前2段目に腰掛けて、一息つくとしよう。この踊り場に上り、あと数段上れば屋上に着く。さて、もう一踏ん張りだ…………』
 と、『踊り場の手前2段目に腰掛けて ~ もう一踏ん張りだ』が延々と続くのだ。この怪現象を分かりやすく説明すると、「階段を上り始めた地点で怪現象は発生している。上り始めてから屋上までは踊り場が幾つもあり、階段の段数は異常に多い。屋上へは決して辿り付けない。ある程度上ると、階段に腰掛けて休む事になる。腰掛けて休むと、ループに突入する。ループに突入しても上っている本人は気付かない」と言うわけだ。
 俺はこの話を信じていない。何故なら、もしそんな現象が起きているのなら、こんな話が出てくる訳ない。それに、もし本当だとしても、俺は試したりなんかしない。
 だけど、こういうのを試すバカもいる訳だ。
「なぁ、例のループ階段の話知ってる?」
 とBが話しかけてきた。
「ああ、俺知ってる」
 とCも話しに参加してきた。
 その後、適当に怪談を幾つか話した後、休み時間にループ階段まで行ってみる事にした。
「へー、これが噂のループ階段か」
 そこは、居たって普通の階段で、だけど、生徒立ち入り禁止の張り紙があった。
 そして、階段じたいは普通だ、だが、その階段の上には・・・・。
「俺行ってみよー」
 とBが1段上った。続いて、
「俺も」
 とCも1段上った。
「お前は?」
 俺も、一緒に上ろうと思ったが、やはり止めた。
「いや、やめとく。俺、数学のワーク終わらせねぇと先公に怒られる」
 と、俺は適当な理由を付けて辞退した。
 ループ階段にビビった訳じゃない。だが、ビビったといえばビビった。
 踊り場の手前2段目には、座った状態で微動だにしない、第2中の制服を着た女子がいた。いや、あった。あれは、恐らくループに突入した生徒の死体だ。きっと、今も魂はループし続けているに違いない。
 死体は腐っていない。恐らく、ループに突入した時のまま時間が停止してしまったのだろう。
「じゃ、俺ら行ってくるから、先に教室戻ってて」
「ん・・・・。ああ。分かった」
 俺は、黙って教室に戻った。
 授業が始まっても、あいつら二人は帰って来なかった。
「おい! 大丈夫か!?」
 大声と、身体を揺さぶられるので、ハッと気が付いた。
 そこは教室で、時計を見ると、12時35分を示していた。
「12時35分? ・・・・!」
 そんな、さっき2時限目が始まったばかりなのに、どうして!? もう、4時限目の終わり!?
「お前、変だぞ。1時限目のあと、休み時間を終えて教室に戻って来てから、ずっと顔を真っ青にして・・・・。何かあったのか!?」
 どうやら、俺は目を開けたまま気を失っていたらしい。
「いや、何でもないです・・・・」
 と、そう言って窓の外を見た瞬間!
「ぁぁぁぁぁぁああああああ!」
 叫び声と共に、男子生徒二人が、真っ逆さまになって落ちてきた。
 ドシャッ! 嫌な音が響いて、地面には真っ赤な花が二輪咲いた。
「!」
 クラスは・・・・いや、学校は大騒ぎになった。生徒がいきなり空から降ってきたのだ。それも二人。

 その後、例の階段は封鎖された。頑丈な鋼鉄の壁で階段を完全に塞ぎ、さらにコンクリートで塗り固めたのだ。
 そして、階段を完全に封鎖した後、神社の神主さん(?)にお祓いをしてもらっていた。
 二人が死んだ翌日、俺は校長室に呼び出された。
 そこには、10年近く前からこの学校の教師をしている先生や、この辺りの土地に詳しい不動産屋のおじさん、校長先生の3人がいた。
「あの階段に行ったのかね」
 校長先生が重い口を開いた。
「まさか、3人もいるとは・・・・」
 おじさんが言った。
「何が3人いるんですか?」
 俺は行った。
「あの階段が見える人間だよ」
 先生が言った。
「見える? だってあの階段は昔からあるんじゃ・・・・」
 俺が言葉を続けようとした時、重い声で、
「ない」
 と遮られた。遮ったのは先生だった。
「無いんだよ。階段なんて。あそこにあるのは、鍵が無くなって、しかも鍵師ですら開けられない錠のあるドアだ」
「でも、俺は確かに階段を見たんです」
「わかっておる」
校長が言った。
「わかっておる。時折いるのだよ、あそこで、ドアではなく階段を見る人間がな・・・・」
 校長は、口を真一文字に閉じた。
「そして、あの階段を見た生徒は、見るだけでなく上ってしまう。そして、死んでしまうのだよ。とても酷い死に方で・・・・」
「酷い死に方・・・・?」
「最初は・・・・」
 おじさんが、再び口を開いた。
「最初の一人目は、首を斬られて死んでいた。二人目は、腹を抉られ死んでいた。三人目だけは、階段で穏やかに死んでいたな・・・・」
 じゃあ、俺が見たあの女子は、その3人目だったのか・・・・。
「四人目は、上半身下半身と真っ二つにされて死んでいた。五人目は身体を縦に斬られていた。そして、六人目と七人目は・・・・空から落とされて死んだ」
 最後の二人は、おそらくBとCの事だろう。
「俺は? 俺はどうすればいいんですか?」
 階段を見てしまった俺は如何すればいい? 今は、恐怖で普通の階段にすら近づけそうにない。
「安心しなさい。神社の神主殿からこれを頂いて来た。悪霊祓いのお札だ」
 校長先生に手渡されたのは、縦15㎝横5㎝くらいの、文字が彫ってあるお札だった。
「神主殿曰く、肌身離さず持っていなさいとの事だ」
「肌身離さず・・・・ですか」
「ああ。あの階段は、一種の呪いだそうだ。その呪いは死ぬまで解けないらしい。だが、呪いを強制的に発生させないのがそのお札らしい。それを持っている間は、階段の呪いを恐れる必要はない」
 ループ階段の話は、校内では禁止となった。校則で禁止されている訳じゃない。先生から言われた訳でもない。皆、呪われたくないだけだ。


3年後

 高校3年生になり、俺は、すっかり忘れていた。あの階段の呪いを。
 始業式の朝、俺はお札を持たずに学校へ向かった。3年生が使う北校舎に入ったのは初めてだった。
 クラス表を見ると、俺は2組だった。教室は4階にある。
 階段を上る時、少しながら抵抗を感じたが、大丈夫だろうと思い、思い切って上って見た。
 大丈夫だ。俺以外にも上っている奴等が何人かいる。
 メガネを掛けた男子。坊主頭の男子。
「!」
 驚いた。あの、階段に腰掛けて死んでいたあの女子が、階段を上っている。
 そして、踊り場の手前二段目に来ると、そこに腰掛けて休み、また上り始めた。
 後ろから、一昔まえの不良のような格好をした男子と、携帯をいじっている女子が上って来た。
 階段を上って、4階に着くと、見覚えのある顔が教室に入っていった。
「B! C!」
 走って追いかけ、教室のドアをつき飛ばし、教室に入る。
「え・・・・」
キラッと光細長い刃。それは、目にも止まらぬ速さで俺の首を斬った。


 今更だが、実を言うと、俺は部活を休んでいた。交通事故で右足を骨折していたのだ。なので身体もなまっている。階段を25段上ると、右足がとても疲れる。なので、俺は踊り場の手前2段目で座って休む事にした。あと数段上れば、4階に着く。5分も休めば、流石に疲れは、ある程度とれる。階段を上り切り、4階に着いた。其処で、俺は懐かしい、見覚えのある顔を見た。
「B! C!」
 叫んで、教室に入るBとCを追いかけた。そして、俺は教室に飛び込んだ。
「え・・・・」
 キラッと光る、細長い刃は、俺の首をさっぱりと斬った。そして、激痛と共に、呪いを思い出し、お札を持って来なかった事を悔やむ。だけど、気が付くとそんな事は忘れて・・・・。

いくら歩けるように成ったからいえど、交通事故で受けたダメージは強く、今でも階段を25段も上れば、右足は疲れ、痛む。踊り場の手前まで来て、途轍もなく耐えがたい痛みが足を襲って来たので、踊り場の手前2段目で座って休む事にした。あと数段。あとほんの数段上れば4階に着く。
 4、5分も休めば十分だ。そろそろ上らなくては。
 上りきると、懐かしい声が耳に入った。
 振り向くと、そこには・・・・
「B! C!」
 二人は教室に入った。俺はその二人を追うように教室に入る。
「え・・・・」
 思い出した。BとCは死んだのだ。階段の呪いで。
 そして俺も・・・・。
 首が落ちた。首が斬られてから、床に落ちても。暫く思考が続いた。
 永遠階段の本当の話はこうだ。
『1段上ったら、残酷な方法で殺される。殺されると、魂は階段を階段を上る→休む→死ぬを永遠に繰り返す』というのが、この呪いの正体だ。
俺も、永遠に階段を上っては殺され・・・・

いくら歩けるようになったからと言えど・・・・



『始まりました。ニュース日本。本日、先ず始めにお伝えするのは。○○県○○市にあります、公立○○高等学校で、新3年生の変死体が発見されました。
 教室の後ろで死亡していた○山 Aさんは、首を細長い刃物のような物で切り落とされ、死亡していました。』


第一ノ怪 終
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Date: 2011.04.03 Category: 百物語  Comments (3) Trackbacks (0)
*

第2弾いってみよー

第二ノ怪 踊り場の鏡
 最近建設された学校は如何か知らないが、僕の通う学校の階段の踊り場には、姿見、つまり鏡がある。
 鏡関係の怪談は多い。だから、どれも信憑性がなくなってしまう。どれほど実物が禍々しかったとしてもだ。
 南校舎の1階から2階へ上がる階段にある踊り場の鏡は、新聞紙とガムテープで、隙間が一切無いほどに覆われている。その中央には『見るな。危険』と書かれている。
 誰もが、フザケ心で、新聞紙を剥ごうとするが、この鏡はカメラで監視されており、剥ごうとするとブザーが鳴るのだ。そして、剥ごうとした奴は校長室へ呼び出され、長々しい説教を喰らわされるのだ。
 見るからに怪しい鏡を、剥ごうという計画を、真面目に考える連中を、僕は知ってる。何故かって? 僕もその一員だからだ。
 メンバーは、僕を入れて5人のみ。
 僕A、それにBとC、D、Eの5人だ。
 計画は単純。真夜中に5人集合して、学校に忍び込むというモノだ。
 実行するのは金曜日(正確にいえば土曜日の午前0時以降)。
 まず、Bが学校の合鍵を造る。これは簡単に成功した。卒業式に、Bが「腹が痛い」という理由で体育館から出、誰もいない職員室へ乗り込む。そして、学校の鍵の型を取るというモノだ。Bの家は鍵師一家で、型さえあれば鍵を造るのは容易い事なのだ。
 で、金曜の11時55分。俺はこっそり家を出、集合場所の正門前に向かう。
 到着して5分くらい待つと、皆集合した。
「B、鍵は持ってきたのか?」
 僕が聞くと、
「ああ、勿論だ。忘れる訳ねぇだろうが」
 とBは言った。
「おい、誰か来る前に入るぞ」
 Cはそう言って正門を抜けた。
「じゃ、行こうか」
 僕達も正門を抜けて、職員玄関に向かう。
「B! 早く」
「おう!」
 Bはポケットから鍵を出し、鍵穴に差し込んだ。
 ガチャッという音がして、鍵は開いた。
 一応、それぞれ懐中電灯を持ってきた。学校の電灯を付ければいいと思うだろうが、そういう訳にもいかないのだ。こんな時間に電灯を付けていたら、怪しいと思った住民に通報されかねない。
「あの鏡って南校舎だような」
「ああ。南校舎の理科準備室の近くだ」
「レッツ ゴー」
 なんて、遊び気分でいれれるのは此処までだった。
 噂の鏡に近付くに連れて、段々寒気がして来た。皆、何かを感じているようだった。
「な、なぁ、視線を感じるのは俺だけか?」
 Eが言った。
「おい! 変な事言うなよ。怖くなるだろ! それよりD! カメラ対策は大丈夫何だろうな」
「ん、全然OKだよ」
 Dは、一種の機械ヲタクなのだ。で、ブザーが鳴らない様に対策を頼んだのだ。
「あのカメラは、固定っちゃ固定カメラだけど、時々向きが変わるだろ。んで、事務室に忍び込んであのカメラの資料を読んでみたら、夜の12時から1時15分までは、鏡と逆の方にカメラが向いてるらしい。だから、今の時間帯ならブザーが鳴ったりはしない。それに、万が一途中でこっちを向いても大丈夫なように、これを持ってきた」
 Dが取り出したのは、鉄鎚と五寸釘だった。
「カメラの両脇にこれを刺しとけば、回転してもこれに引っ掛かって動けない筈だ」
 Dは自信に満ち満ちた顔で言った。
 まぁ、Dが言うのなら本当なのだろう。
「お、ここだ」
 懐中電灯を持って先頭を歩いていたCは、例の新聞紙で覆われた鏡を照らしながら言った。
「ほんじゃ」
 Dは脚立に乗り、五寸釘を打った。監視カメラは、Dの言っていた通り、鏡があるのとは逆の方向を向いていた。
「なぁ、五寸釘打ったはいいけど、後でバレるんじゃね?」
 Bが言った。
「へへへ。安心しろ、ちゃんと釘抜きも持ってきた」
「いや、抜いても穴が残るじゃん」
「安心しろって、俺を誰だと思ってるんだ?」
「機械ヲタク!」
 その場にいた、D以外全員が言った。
「ま、まあそうだけどさぁ。・・・・兎にも角にも、穴がバレないように、これを持ってきたんだよ」
 Dが鞄から取り出したのは、天井と同じ色の2㎝×2㎝の正方形のシールだった。
「穴の上からこれを張っちゃえばバレましぇーん!」
「おお、流石D!」
 Bが言った。
「よし、剥がすぞ」
 僕は、そう言って、ガムテープを剝し、新聞紙を剝した。
「?」
 それは、
「ただの鏡じゃん」
 ただの鏡だった。何の変哲もない。
「何だ、つまんねー・・・・!」
 と、突然Cは黙った。
「ん、どうしたC、聞こえるかー」
 BがCの目の前で手を叩いた。するとCは、
「ヤバい。ヤバいってヤバいってヤバいって・・・・ヤバいって」
「どうしたC 気が狂ったか? 鏡は何もね―だろうが」
 俺達は鏡を見た後、Cの見ている方を向いた。
「! 何でこんな時に・・・・」
「本当にヤバいって。どうする? 逃げる? ってか逃げようよ」
 そいつは、黒光りする身体を素早く移動させながら近付いてくる。しかも集団で・・・・。
「に、逃げろ!」
 僕は大声で言った。
「で、でも釘は・・・・」
 Dはビビりながらも、釘を如何すればいいのか迷っていた。
「いいから逃げるんだよ!」
 俺達5人は必死で走った。
 と、奴等は飛び掛かって来た。
「うわ! もう駄目だ!」
 と、諦めかけた時――――。
 プシュー、という音と共に、奴等はバタバタと床に落ちていった。
「へへへ、こんな事もあろうかと、準備してたんだー」
 Dが両手に持っていたのは『ゴキジェット』だった。
「学校ってのはこういうの多そうだからね。それに今夏だしね。夏なんて虫の全盛期じゃん」
 そう、僕達はゴキブリの大群から逃げていたのだ。
「はぁ、はぁ・・・・。死ぬかと思った・・・・」
 Bが言った。
「Dがいて本当に助かった・・・・」
 Cが言った。
「俺も持ってくれば良かった、ゴキジェット・・・・」
 Eが言った。
「ど、どうする? 鏡ン所戻るか?」
 僕が言った。
「はぁ、はぁ・・・・。ああ、釘抜きに行かないと・・・・」
 と、いう事で、僕達は釘を回収しに鏡の場所へ戻った。
「じゃ、解散」
 鍵もしっかり閉めて、今日は解散となった。
 土曜日と日曜日が過ぎ、月曜日の昼休み、僕達は校長室に呼び出された。
「全く! 夜間に学校に侵入するなど言語道断! 決して許される事ではない!」
 何故、バレたかと言うと、あの時、僕達は監視カメラが向いている方向に逃げてしまったのだ。
「何も無かったからいい物の、絶対にあの鏡には近付くなよ! 全く、あんな大人数でドタバタ走り回りやがって」
 多人数? たった5にんなのに?
「あの、5人だけですけど」
「はぁ? ふざけるな! ワシらの知らん連中を大勢連れてきただろうが!」
「いや、本当にこの5人だけですけど・・・・」
「じゃ、じゃぁこの映像に映っておるのは・・・・」
 校長先生は、監視カメラのビデオを再生した。
そこには、逃げ惑う僕達と、それを必死に追う子供達が映っていた。
「・・・・こいつ等はお前たちの連れじゃないのか?」
「はい・・・・。僕達は5人だけでした」
「そうか・・・・」
 この後も、説教は続いた。説教は放課後まで続き、「鏡に悪戯するな」と何度も何度も言われた。
 説教が終わって、僕達五人は例の鏡を見に行った。
 なんの変哲もない鏡は、ただひっそりと世界を映していた。
 家に帰り、母親からもこっ酷く怒られた。校長に何時間も怒られた後だ、言い返す気力もなく、ただただ静かに、母親の説教が終わるのを待った。
 風呂・・・・には入らないで、ただシャワーを浴びるだけにした。
 寝巻きに着替えて、洗面所で歯を磨く。
 ふと、鏡に目をやると・・・・
「!」
 ガッと腕が出てきて、それは僕の頭をガッチリ掴み、そして、鏡の中へ引き摺りこんでいった。
「や、やめろ! 助けて! 母さぁぁああん!」

翌日
「H田先生!」
 校長は、息も絶え絶えに走って来た。
「ああ、校長先生」
「本当か!? 本当に鏡から!?」
「ええ、兎に角見てきて下さい!」
 体育教師のH田と共に、校長は例の鏡へと向かった。
 そこには、ただ茫然と鏡を見る警官が何人も立っていた。
 ただ、彼らが見ている鏡は、もはや普通の鏡では無かった。
「な、何て事だ・・・・」
 鏡から、
「手が・・・・」
 右手が5本、生えていた。
「また、またこんな事になるとは・・・・」
 校長は、その場で崩れた。そして、床を何度も何度も叩いた。


第二ノ怪 終

感想よろしく
Date: 2011.04.05 Category: 百物語  Comments (1) Trackbacks (0)

レッツ 第3弾

ほんじゃ、第3弾いってみよー


第三ノ怪 親友
「え・・・・」
 朝、校内放送を聞いて私は泣き崩れた。
 親友のB美が死亡したので、黙祷を捧げますというような内容の放送が流れたのだ。
 何時も明るく、元気に振る舞っていたB美がたった土、日の二日間の間に死んでしまったのだ。しかも、病気ではなく事故で。
 それも、昨日の夜らしい。塾の帰りに、トラックに轢かれて死んだらしい。
 その日1日、私は悲しみで授業に身が入らなかった。
 家に帰ってから、私は枕に顔を沈めて静かに泣き続けた。
 母の作った夕飯も、今日は喉を通らなかった。
 結局、今日、私は生きながら死んだような感じだった。
 眠る時も、私は死んだように眠った。
「ねぇ、起きて」
 誰かは私の身体を揺すっている。母だろうか? 私は身体を目を開いて、身体を起こした。
 と、そこには・・・・、
「B美・・・・」
「A華・・・・」
 何故だろうか、季節は冬だというのに、私は寝汗でビショビショだった。
「大丈夫? A華。凄く魘されてたよ」
「・・・・大丈夫。それより、何でここに?」
 そうだ、B美は死んだはず。トラックに轢かれて・・・・。
「もうすぐ、私、逝っちゃうから。最後にお別れしようと思って。向こう(天国)に逝く前に、少しでも多くA華と話したかったから・・・・」
「時間は? どれ位・・・・あるの?」
「1時間くらいかな。それ以上いると幽霊に成りかねないから・・・・」
 それから、私とB美は喋ったり、トランプをしたりして時を過ごした。時刻は午前1時なので、大声を出す事は出来なかったが、とても楽しい時間だった。
「外、行かない?」
 と、B美が言った。私は同意してから、着替え、外へ出た。
「ちょっと散歩しよう」
 残り時間は5分もない。
 深夜の街、悪いとは思いながらも大声ではしゃぎながら、B美の死んだ場所まできた。
「向こうに渡ろう」
 B美と一緒に横断歩道を歩いていた時、一台のトラックが走ってきた。
 私は、咄嗟に走ろうとしたが、
「待って」
 B美は、私の腕を掴む事により、私を引き止めた。
「一緒に。一緒に逝こうよ。親友でしょ? 言ったじゃない、私と一緒なら何処まででも一緒について行くって。だったら、一緒に来るよね?」
「B美――――」
 私は、B美と一緒なら、それでもいいと思った。B美とは、生まれてからずっと一緒にいると言ってもいい。誕生日は1日違いで、元々母親同士が仲良かった事もあり、私達が生まれる前から家族ぐるみの付き合いがあったそうだ。幼稚園も一緒で、小学校も中学校も一緒だ。そして高校も一緒・・・・。
「そうだね、私達親友だもんね。一緒に行こ――――」
 ドンッ。

「何でこんなモン持ってあんな時間にあそこにいたんでしょうね?」
「さぁ、最近の若者の考えている事は分からんね。えっと、何だっけ? その証明写真みたいなやつ」
「ああ、プリクラっすか?」
「そうそう、それだ。まったく、そんなプリクラ持って深夜徘徊した挙句事故で死ぬとは・・・・」
「あ、そういやこのプリクラの娘・・・・」
「どうした?」
「いや、明け方死んだ娘の隣の子。日曜日の夜に交通事故で死んだ子ですよ」
「あー、じゃああれか。親友がしんだから、親友と同じ死に方で後を追っかけたって訳か」
「ですかね。普通なら親友の分まで生きるモンじゃないんですかね・・・・」

第三ノ怪 終


あんま面白くないね・・・・ちなみにこの話は・・・・いいや、やっぱ止めた・
チェロ弾こ。やる事無いしね・・・・。
指とか、見ないと分からねぇ・・・・。練習しなきゃね
あー、明日から3年生か、中学生活も短いものだな。
今年は色々と頑張らないとな。しかも、明日から塾2コマ連続・・・・。死にそうだ。
Date: 2011.04.07 Category: 百物語  Comments (0) Trackbacks (0)

第4弾! 

んー、一番グロイか?
――追記――
   テンプレ変えた。

第四ノ怪 殺人現場(キルゾーン)? NO 殺戮現場(マサカーゾーン)
何時もの様に、俺は地獄のような仕事を終えて帰路についていた。電車を乗り継ぎ、地下鉄から地上に出て、都会の腐れきった空気を吸いながら歩く。
 大通りを通るより、路地裏を通った方が近道になる。それに、変な連中に絡まれずにも済む。
 たが、やはりヤバい連中を見かける事もある。
 薬の取引現場を目撃したり、薬中がうろついてたり等々・・・・。まぁ、俺自身に直接的な害はないので、見て見ぬフリをしている。それが、毎日のように続く。
 家の場所を変えればいいのかもしれないが、そんな気になれない。不況や地震のせいで、会社は物凄く忙しいのだ。休日も無い位だ。週休二日なのに、いまは二ヶ月に一度休暇をもらえるかどうかだ・・・・。

 今日も此処を通るのか。まあ、家に帰る為だ仕方ない。
 そういえば、何時だったか、この近くで殺人があったな。
 狂人による犯行だったらしい。犯人は、相手を殺して、その場で腹を抉って内臓をしゃぶっていたらしい。
 そんな事を考えながら歩いていると、段々気味が悪くなってきた。
「あ・・・・」
 ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ。
 人が、人を喰っている。
 充血した眼。血に染まった四肢。砕けんばかりに人を喰らう顎。
 死体は、もう殆ど喰われていて、男か女かも分からない。
 ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ――――。
 ヤバい。目が合った。
 その食人者は、立ち上がると、にたりと笑った。
「ああ、丁度探してたトコロだ」
 食人者は、俺に向って全力疾走してきた。勿論、俺も全力疾走して逃げる。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! 待てぇ! 待てぇぇええ!」
 食人者は、もはや人のモノとは思えないような声で叫びながら追いかけてくる。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・・。クソ!」
 何処まで走っても追いかけてくる。
 ・・・・そうだ、大通りへ出よう。大通りには交番もある。
「大通り――。大通り・・・・!」
 後少し。後少し先の道を曲がれば大通りに出る。
「うがぅっ!」
 食人者が飛びかかってきた。
 俺は、倒れて、持っていた鞄で食人者を力いっぱい殴りつけた。
 食人者が頭を殴られて一瞬の隙をみせた瞬間、俺は立ち上がって大通りに出た。
 大通りは、大勢の人で賑わっている。
 こんな賑わいのすぐ近くであんな事があったんのに、誰ひとりとして気付いていない。
 血だらけの俺が走っても、誰も気にもしない。
「交番――――。交番――――」
 食人者はもう追ってこない。だけど、俺は逃げる。
 追ってきていないのは分かる。だが、振り向いて確かめる気になれない。振り向いたら、食人者よりももっと怖い物を目撃してしまいそうで――――。
「あった!!」
 交番を見つけた。良かった。これで、俺は救われる。
「はぁはぁ・・・・。お巡りさん! 人殺しです! そこの路地裏で――――。人が、人が喰われて・・・・はぁはぁ」
 走り続けたせいで、息が荒くなる。
「人殺し? ハハハ、どの?」
「どのって、だから――――。どの?」
 交番にいた二人の警官は顔を見合わせた。
「おいおい。後ろを見てみなよ」
「後ろ?」
 俺は、ゆっくりと振り返った。
「な――――」
 言葉を失う、とはこの事を言うのだろうか。
 ほんの1、2分前までは大勢の人で賑わっていた大通りが――――死体で埋もれている。
 俺を追っていたのと同じような食人者が5、6人いる。そいつは、ガツガツと死体を食していた。
 大通りは血だらけになっていた。死体と血と、死臭でうもれた大通り――――。
「おい! 警察ならなんとかしろよ!」
 警官二人の方へ振り返ったら――――。
 二人とも血だらけになって死んでいた。
「へ――――!?」
「ヒヒヒ! お前で最後だ」
 太い食人者の腕が、俺の胸を貫いた――――。

第四ノ怪 終
Date: 2011.04.09 Category: 百物語  Comments (2) Trackbacks (0)

本ノ巻 第戮ノ怪 狂い咲き

本ノ巻

第戮(ロク)ノ怪 狂い咲き
 酷い事をされ続ければ、人格が歪むのも仕方ないとしか言えまい。
 彼女を例にあげてみようか。
 君は耐えられるかい? 腕を捥がれたり、足を捥がれたりする痛みを・・・・。
 彼女は必死に耐えていた。いつか救われると信じて。
 不老不死についてどう思う? そんなモノはこの世に無いと? それともただの迷信だと笑う? それとも狂った科学者の妄想だと軽蔑する? それとも――――信じるかい?
 結果から言えば、彼女は不死身だ。ただ、痛みは感じる。腕を捥がれても再生する。しかし、捥がれる痛みと、再生する時の痛み両方を感じる。
 闇の世界に存在する残酷で冷酷なゲームをしっているかな?
 ルーレットには1~15の数字がふってある。そして、ボードには各番号毎に身体の部位が書かれている。
 ルールは簡単だ。
 ルーレットで当たった番号に書かれた身体の部位を捥ぎ取る。ただそれだけ。
 身体を捥ぎ取られるのは、闇市で売りさばかれる貧富層の子供だったり、あるいは不死身の彼女だったり――。
 彼女は右腕25回、左腕18回、右脚19回、左脚22回、右眼球7回、左眼球10回、舌5回を始めとする、身体の各部位を何十回も捥ぎ取られたり、抉られたり、切断されたりした。しかし、先の数字はあくまでゲームでの回数だ。実際は数百回を超えているだろう。
 毎日のように激痛に襲われ続けた彼女は、ある時赤い悪魔に力を与えられた。認識しても痛みを感じない力だ。
 痛みを感じなくなった彼女は、無敵同然だった。どんなに斬られ、刺され、撃たれようと、彼女は痛みを感じなかった。ただ、斬られた、刺された、撃たれたという認識は働いていた。
 彼女は、鉈を2本構えて、周りの人間を殺して回った。

狂い咲き 代前ノ回

「ひでぇ」
 としか言いようの無い現場だった。
 首を切り落とされていたり、腕が切断されていたり、中には横に真っ二つにされている者もいた。
「狂人の仕業と見るのが妥当か」
 俺の隣にいる、赤月隊長が言った。
 赤月隊長は俺、闇風美琴が所属する『特別怪事件部隊』の隊長だ。
「池寺さん、お願いします」
「ああ、分かった」
部隊の中でも池寺さんは最年長で、赤月隊長も敬語で話している。
 特別怪事件部隊のメンバーは全員人間じゃない。それは俺も例外ではなく、俺もかつては闇の世界の住人だった。
 隊員は全員何らかの特殊な能力を持っている。その能力はどれも科学を無視したモノで、上層部には俺等の部隊を嫌っている奴らもいる。
 池寺さんの能力は、広域情報達(ワイドエリアコミュニケーション)と呼ばれている。池寺さんを中心に半径5㎞~10㎞以内の全ての生物、無生物から情報を読み取る事が出来る。
「――――――――成程」
 池寺さんは地図を広げ、とある場所を赤ペンでマークした。
「ここに、隠れている」
「他に情報はありませんか」
 赤月が聞くと、池寺さんは、
「詳しくはわからない。だが、不死身、無痛というワードが視える」
「不死身、それで無痛・・・・」
「まぁ、行ってみれば分かるだろう」
 という愛華さんの一言で、俺達特別怪事件部隊は池寺さんが地図上にマークした場所、森の中にある廃校へと向かった。
 ここで隊員紹介といこう。
俺は闇風美琴。俺は衝撃を吸収―蓄積―放出する能力(インパクト・ダム)を持っている。そして、俺は特別怪事件部隊で唯一、支給された戦闘服を装備している隊員だ。
 んで、さっきも紹介したけど隊長の赤月仁江さん。男。能力は、高圧(ハイプレッシャー)電撃(エレクトリック)。その名の通り、電気を発生させ、高圧で電流を流す事の出来る能力だ。赤月隊長の服装は、黒のタンクトップにパーカー、そしてジーパンというラフな服装だ。
 池寺さん。男。能力については先程説明したので割愛。ちなみに、毎日スーツ姿。
 そして愛華さん。女。能力は物理的に接触した瞬間爆発を発生させるという能力だ。説明すると、愛華さんの能力に合わせて創り出されたヒールで蹴られたり、愛華さんに素手で殴られたりすると、愛華さんの拳やヒールと接触した瞬間、爆発が発生するというモノだ。爆発が発生しても、相手はダメージを喰らうが、愛華さんは無事だ。ちなみに、この能力は触爆弾(タッチボム)と呼ばれている。愛華さんの服装は池寺さんと同じくスーツだが、手袋を嵌めている、これは、迂闊に素手で何かを触って爆発しない様にする為だ。手袋自体は、愛華さんの能力に合わせて創られた物なので問題無い。
 以上、隊員紹介終わり。というか廃校に到着した。
 見事なまでに廃墟だった。窓ガラスは割れ、塗装ははげ、しかも建物自体に亀裂が発生している。
「2階だ」
 池寺さんが先導する形で、俺達は校舎の2階へと上がっていく。
 階段の手すりも、錆付いていて、今にも崩れおちてしまいそうだ。
 階段を上ってすぐの教室は傷だらけだった。長年放置されていればそうなるかもしれないが、この教室の傷はあからさまに人為的なものでしかなかった。
 黒板も、床も壁も傷だらけで、天井は無かった。何かに吹っ飛ばされた様な壊れっぷりだった。
「この教室は20年前の傷だ。今回の件に関係ない」
 池寺さんが言った。
 20年前、俺が5歳位の頃だ。当然、俺は何があったかは知らない。
 隣の教室は、割れたガラスの破片、傷んだ床と壁、埃を被った黒板と、普通の廃校の教室だった。
 3つ目の教室。虚ろな瞳。捥げた腕。床は血で塗れ、壁も血で塗れていた。
 死んでいる男は、闇市では有名な人売(奴隷商人)だ。
 捥げた右腕には、人を売った金で購入したと思われる高級腕時計が巻かれている。
「隣だ、隣にい――――」
 と、黒板が吹き飛ばされ、鉈を二本持った少女が現れた。
「コイツだ!」
 池寺さんは遮られた言葉は続けず、そう言った。
 鉈を持った少女は狭い教室の中を素早く移動し続ける。
「愛華! 動きを止めろ」
 
赤月隊長がすかさず命令する。
 愛華さんは嵌めていた手袋を外し、殴りかかった。愛華さんの拳は、素早く動く少女に見事命中し、爆発を発生させた。吹っ飛んだ少女は、動かなくなった。持っていた鉈は、爆発の衝撃で、窓から落ちた。
「美琴、確保しろ」
「はい」
 手錠を出し、動かなくなった少女に近付く。少女の手に手錠を嵌めようとしたその時。
「な――――!」
 少女は、固定された腕を捥ぎ、俺に襲い掛かってきた。
 武器を失くした少女は、俺に噛みつこうと襲い掛かってくる。
「仕方ない。美琴、離れろ」
 俺は死にかけながらも何とか少女から離れた。そして、その瞬間、高圧で放出された電撃が少女を襲った。
 赤月隊長の高圧電撃だ。
「死んではいない筈だ。監獄へ入れて拘束する」
 赤月隊長の命令で、少女を鱲(からすみ)監獄所へ入れる事になった。鱲監獄所は狂人や凶悪犯、極悪犯を収容する監獄だ。

Date: 2011.04.12 Category: 百物語  Comments (3) Trackbacks (0)

続き

狂い咲き 代中ノ回

「不死身? あの娘が?」
 不死身という言葉を俺は久しぶりに聞いた。
「ああ。名前は藤井智子。闇市で高値で売買されていたらしい。暗(ブラック)遊(ゲーム)で散々痛めつけられていたらしいな。ただ、どんなに痛めつけても死ななかったそうだ。腕や足を捥いでも、1週間もあれば再生していたらしい。んで、無理矢理腹をこじ開けて、内臓を取り出して闇取引に出していたそうだ」
 赤月隊長は、特殊精神異常専門医の佐々木一総先生から送られてきた資料を見ながら言った。
「不死身か・・・・。珍しいな。全員狩られたと思っていたが、まだ残っていたとは」
 愛華さんが言っているのは、5年前に、裏世界で刻々と進められていた不死身狩りの事だろう。不死身狩りは、不死身の人間を根こそぎ施設に収容し、生体実験を行うというモノだ。非人道的な計画に、反対する人々も大勢いたが、圧力で封じ込まれたのだ。
「それで、あの娘はどうなるんだ?」
 池寺さんは煙草を吸いながら言った。
「冷凍でしょう。不死身ですから」
 冷凍とは、不死身の人間に対する処刑の事だ。死刑を実行しても、不死身なので当然生き返ってしまう。なので、殺すのではなく凍らせるのだ。
「そうか。じゃあ――――」
 池寺さんが何かを言いかけた時、放送が流れた。
『鱲監獄から藤井智子が脱走。藤井智子は監獄エリアA-1を南下中。隣接している火薬庫に向かっている模様。特別怪事件部隊は至急現場へ向かう様に』
「ちぃ、面倒な」
 鱲監獄は軍の施設と隣接しており、兵器庫、火薬庫、兵器開発局等の軍施設がある。
 現場へ向かう途中、局長から無線で『殺せ』との命令された。平和主義の局長が殺すように命令を下すという事は、相当ヤバい事態に陥っている事を表している。
「あの兵器庫には新型爆弾がある。それが爆発すれば半径6㎞を吹き飛ばしかねない。局長がマジになるのも当然だ」
 成程納得がいった。
 車に乗っているのは俺、赤月隊長、池寺さんの3人で、愛華さんは愛用の銃器を大量に詰め込んだ、改造14tトラックに乗っている。
「相手は不死身なのに、普通の銃器じゃ意味無いんじゃないですかね」
「愛華の事か?」
「ええ」
「あのトラックん中は液体窒素だ。業者が使うモノを改造したもので、愛華が今乗っているのを始めとして、合計28台が現場で待機しているらしい」
「28台も・・・・」
 俺と池寺さんの会話が一段落したのを見計らって、赤月さんが作戦を説明し始めた。
「愛華にはもう伝えた。今回の作戦は、不死身が相手だ。殺せという命令が出ているが、それは不可能だ。なので、今回は液体窒素で奴を凍らせる。まず、この放水機を装備する」
 赤月さんが取り出したのは、背負う事の出来るタンクとホースで繋がった放水機だ。
「このタンクに液体窒素を入れ、奴を見つけ次第放水しろ。放水できる距離は約50mまでだ。そして、万が一の爆発に備えて、超強化防護服を着てもらう。多少動き難くなると思うし、視界も悪くなるだろうが、我慢してくれ」
「了解」
 現場は極悪犯ばかりが収容されているエリアで、万が一ロックが外れても牢から出られないよう、強化シャッターが下ろされている。
 最初は、エリアを南下しているとの事だったが、どうやらこの建物に逃げ込んだらしい。
「いいか、建物の周りでは液体窒素補給用のホバリングボートが待機してる。液体窒素が切れたら、窓から補給できる。分かったな。では散開だ」
 俺は最上階から下へ、池寺さんは丁度真中の階から上へ、赤月隊長は一番下から上へ。という風に行動する。
愛華さんは火薬庫の周りを、陸軍兵を率いて警備している。
 マスクの所為で息苦しい。
 時々、シャッターの内側から叫び声が聞こえる。恐らく、極悪犯の中の狂人が収監されているのだろう。
 と、赤月隊長から無線が入った。
『美琴。監視カメラに、奴がお前の方に向かっている映像があったらしい。気を付けろ』
「了解」
 慎重に歩みを進める。
「みぃつけた」
 振り向くと、其処には不死身の少女、藤井智子がいた。
 あの時と同じように鉈を構えて・・・・。藤井は全力疾走で俺に襲い掛かってきた。
「くらえ!」
 放水機を向け、液体窒素を一気に放水する。
 命中こそいなかった、藤井の左腕を凍らせる事に成功した。
 しかし、それでも藤井は怯む事無く、俺に飛び掛かってきた。
 振り下ろされる鉈は、俺に命中したが、防護服のお陰で全く効かない。
「こちら闇風。藤井智子と交戦中! 至急援護求む!」
『了解』
『了解』
 藤井は、凍った左腕が邪魔になったのか、右手に持っていた鉈で肩口から切り落とした。
 血が流れる。
 藤井は痛みを感じないのだろうか? 普通、不死身でも痛みは感じる筈だ。
「ちぃ!」
 俺の攻撃は呆気なく避けられてしまう。
 ビーという、液体窒素切れを知らせる警報が鳴った。
「クソッ!」
 俺は、近くの窓まで駆け寄り、ガラスを割り、外のホバーボートから下ろされたホースを手に取り――――。
 突き落された。地上13階から突き落された。
 何かを掴む事も出来ず、俺は落ちていく。
 そして、そして――――。
 ドスンッ。
「ま、死なないんだけどね」
 ゆっくりと立ち上がり、予備の放水機を装備して一気にジャンプする。
 俺が落ちた、13階の近くで空中待機していたホバーボートにつかまり、窓から中へ飛び込む。
 これが俺の能力だ。
 衝撃を吸収、蓄積、放出する能力(インパクト・ダム)。
 ただ、困った事に、俺の能力は鈍器等の打撃や地面に落ちたり、壁に叩きつけられたり等の物理的衝撃、そして爆発の衝撃にしか作用しない。それ以外の攻撃ではもろにダメージを受けてします。刃物や銃器は天敵だ。なので、この防護服が無ければ俺は藤井の鉈で首を斬られていたかもしれない。
「よう、よくも落としてくれたな」
「戻ってきたんだ。ならもう一度殺し合いましょう?」
 言うなり、藤井は鉈を振りかざしてきた。
「この防護服がある限り、お前の攻撃は俺には効かない!」
「でも、そのタンクは別でしょう?」
 藤井が狙っていたのは、俺ではなく、俺が背負っていた液体窒素の入ったタンクだった。藤井は深く刺さった鉈を抜く。それと同時に、中から、液体窒素が冷気と共に溢れ出す。
「ああ! ぁぁぁぁああああ!」




  代終ノ回

『ああ! ぁぁぁぁああああ!』
 美琴の無線は其処で切れた。嫌な予感が過る。
 美琴は若いが、腕がよく、そんな簡単にやられる様な奴じゃないと、俺は思っていた。
『赤月! 美琴が――――』
 先に美琴の許へ到着していた、池寺先輩は、言葉を失っている様だった。
「俺ももう着きます」
 2段飛ばし、あるいは3段飛ばしで階段を駆け上がる。
「!」
 ・・・・。
 そこで俺が目にしたのは、冷気を漂わせながら――まるで銅像のように――立っている美琴と藤井智子の姿だった。
「恐らく、藤井との戦闘中にタンクが破損し、逃げようとした藤井を、自分ごと凍らせたんだろう・・・・」
 池寺先輩は、防護マスクを脱ぎながら言った。
美琴は藤井を後ろから腕で首を絞めるような形で凍っていた。
「兎に角、二人を回収しましょう。今、回収部隊を呼びます」
 俺は、無線で、地上に待機している回収部隊を呼んだ。
 凍った二人は、特殊な強化ボックスの中へ入れられ、そのボックスの中は液体窒素で満たされる。
 ボックスはヘリで鱲監獄まで移送され、監獄の地下エリアX-Wに収監された。
 このボックスが再び開かれる事はないだろう。
 開かれたとしても、不死身ではない美琴は生きていないだろう。
このボックスの扉は鋼鉄の部屋に入れられ、この部屋の扉は255の鍵が無いと開く事は出来ない。
 その255個の鍵は粉々に粉砕され、溶かされ、一本の金属の棒にされた。
 鍵穴はピッキング出来ない様にコンクリートで塞いだ後、鉄板を溶接し、完全に封鎖された。
 大げさに見えるかもしれないが、これが不死身の人間に対する処刑なのである。
 
 4月22日。東京都某所に置いて、闇風美琴の遺体無き葬儀が執り行われた。
「美琴くんが死ぬとは・・・・。考えてもいなかったよ。私は」
 愛華はそう言いながら煙草の火を消した。
「すまんな、遅くなった」
 言いながら、池寺先輩は現れた。
 この日は、普段とは違う、灰色のスーツを着たいた。
「美琴、特別怪事件部隊になってから1年も経っていなかったのにな」
 それでも、楽しい日々を残してくれた様に思う。
 美琴は、一所懸命仕事をこなし、そして、普段は明るい生活を心がけていた。「そんな暗い顔じゃ、幸福の神様も逃げちゃいますよ。赤月隊長」と、美琴は俺に言った。それから、俺は笑う事が多くなったと思う。
「さようなら、美琴」
「さようなら、美琴」
「さようなら、美琴」
 三人同時に言って、俺達は本部に戻る。
「さようなら。先に待ってますから、俺の分まで生きて、笑っといて下さい」
何だか、美琴がそう言っている様な気がしてならない。

  狂い咲き 完
Date: 2011.04.17 Category: 百物語  Comments (2) Trackbacks (0)

代漆ノ怪 MIKOTO

第漆ノ怪 MIKOTO

  代前ノ回
 科学が進歩すると共に、人口は増加の一途を辿っていた。
 科学技術が進歩すれば医療技術も進歩する。そうすれば、それまで直す事が出来なかった病気も治せるようになり、寿命を延ばす事が出来る。
 現在のペースで人口が増え続けると、今後二〇年以内に、地球上で生活できる人間の許容量を大幅に超える事になる。
 現在、月で人が生活出来るよう、多くの科学者や技術者が試行錯誤しているが、月で人間が生活できるように成るまで最低、あと三五年は必要になる。しかも最低だ。それ以上になる事は十分考えられる。
 地下に大規模な生活エリアを造る計画もあったが、資源不足の影響でそれも叶わなくなった。
 このままでは不味いと考えた世界各国の政府は、中国がとった一人っ子政策を世界規模で実施した。そして、その後、人工削減計画が実行された。計画の内容は、各地の居住エリアから一〇〇人ずつ政府へ差し出すこと。
 政府そうして集まった人間は、国際科学研究所で生体実験に使われたり、食料となる。
 生体実験の一つに、生身の人間に科学的な技術を施し兵器にするというものがる。
 これからの話は、ある少女を殺戮兵器にするという実験から始まった史上最悪の話だ。

  代中ノ回
 数十年前。というか一〇〇年近く前、アンデッドと呼ばれる不死身の人種があった。かれらは老いる事はあるが死ぬ事はない。しかも、老いるのも通常の人間の四分の一の速さで。
 まぁ、兎も角不死身の人々がいたのだ。そんな死なない彼が居なくなったのは、通常の人間により冷凍処分されたからだ。その冷凍された不死身の一人に藤井智子という少女がいる。彼女は、多くの猟奇的な殺人を起こし、特別怪事件部隊の隊員もろとも冷凍されたのだ。
 彼女は外部からも内部からも決して壊す事の出来ない、出入り口の無い頑丈な部屋の中で冷凍されている。
 我々の計画に、彼女は必須なのだ。
 我々は頑丈な部屋を壊す為に、五年の月日を費やした。
 そのかいあって、先程藤井智子を部屋から出す事に成功した。まだ冷凍されたままだが、じきに解凍されるだろう。一緒に凍らされていた闇風美琴隊員も、実験体として使う予定だ。
 この時、我々は、あんな事になる事を予想だにしていなかった・・・・。

 藤井についての資料は殆ど抹消されていた。というか、元から少なかった。不死身で、猟奇的な殺人を多数起こした事しか分からなかった。しかし、我々にとっては如何でもいい事。実験さえ出来ればそれでいいのである。
 実験の第一段階として、先ずは藤井智子及び闇風美琴の解凍だ。
 それは、今となってはごく簡単な作業。二人とも無事解凍された。意識はまだ無いが、意識が戻る見込みも十分ある。
 闇風隊員については兎も角、藤井智子は、万が一の事を想定して、身体を固定して、解凍後すぐに実験に移る。
 実験と言うよりも改造に近い。
 藤井智子の左腕は鋭利な刃物で切断されたようで、肩口からバッサリと腕が無くなっていた。
「腕は、人工手腕で十分補える。それでは、術式を開始する」
 無い左腕は人工手腕、最新鋭の義手を付ける。
 どんな無茶をしようと、藤井が死ぬ心配をする必要はない。故に、我々は今までのどの兵器よりも優れた性能を持つ兵器を創り出す事が出来た。
 術式は実に一五時間に及んだ。長い様に思うが、予定よりも三時間程早く終わった。
「今後の経過を見つつ投薬する。万が一の暴走の被害を最小限に抑える為、藤井の身体は拘束具で固定しておけ。以上、術式終了」
 続いては闇風隊員だ。
 彼は普通の人間故、あまり無茶は出来ない。なので、術式も予定よりも大幅に遅れてしまった。しかし、それでも術式は無事終了した。
「いやー、結構苦戦しましたね」
 草野はそんな事を言いながら煙草を吸う。
「おいおい、ここは禁煙だぞ。所長にバレたら大目玉くらうぞ」
 そんな風に笑ってフザけていられるのも、今ぐらいのモノだと知らずに、我々は、呑気な気分でいた。事の状況が悪くなって来たのは闇風隊員が目覚めてからだ。
「貴様! 何故俺達を解凍した! 藤井がどれだけ危険だか分かってるのか!」
 闇風隊員は、血相を変えて私に掴みかかってきた。
「ま、まあ落ち着きなさい、闇風くん」
 なだめると、
「藤井は何処だ」
「は?」
「藤井は何処だって聞いてんだ!」
 今の彼なら、人間一人殺すのは容易い事だろう。このまま黙っていれば、私は殺されかねない。そんな訳にはいかないので、私は藤井の居場所を教えた。
「そうか。聞くが、何かしたか。藤井と俺に」
 彼の眼は、黙秘を許してくれる様な眼ではなかった。
 我々は事の全てを彼に話した。隠す事無く。
「拘束具で固定だと? そんなモノが藤井に効果ある訳ない。アイツは自分の身体を壊してでも殺しを続けるようなヤツだ。今すぐ――――」
 と、緊急警報が鳴った。
『研究施設内にて実験体が暴走中。暴走しているのは藤井智子。研究員は至急――――。う、うわぁぁああ!』
 放送は雑音へと変わった。
「藤井が暴走したか! 逃げるぞ。来い」
 私は、部下数名と闇風美琴を連れて緊急脱出用のヘリがある格納庫へ向かう。
「ヘリを起動させろ。出入り口は塞げ! 早く!」
 部下の一人が急いでヘリに乗り込み、ヘリを起動させる。
「燃料満タン。エンジン出力正常。機体異常なし。行けます!」
「全員乗り込め!」
 部下と闇風美琴をヘリへ乗せ、私は最後に乗り込む。私が乗り込むと同時に、塞がれた出入り口が蹴散らされた。
「飛ばせ!」
「了解!」
 飛び立つヘリに、藤井はあり得ない速さで走って迫って来る。
 想定外の速さだ。どうやら、我々は藤井をなめていたらしい。
 手を伸ばせば届くという所まで藤井が迫ってきた時、銃声が響いた。
 闇風美琴が、サブマシンガンで藤井を撃っていた。そのおかげで、藤井が我々まで到達する事は免れた。
 上空から研究所を見ていると、そこはまるで地獄のような景色だった。
 建ち並ぶ建物は燃え、逃げ惑う人々は片っ端から殺される。
「何て事だ・・・・」
 私は、あまりの事に声を出す事が出来なかった。
「俺に、考えがある」
 闇風美琴は、燃え盛る研究所に視線を向けていたが、何か違うモノを見ているようだった。
Date: 2011.04.19 Category: 百物語  Comments (4) Trackbacks (0)

続きでーす

代中ノ回 全テハ強大ナ力ヲ封ズル為ニ
 どうやら、我々の間違いは藤井智子を解凍した事ではなかったようだ。我々の間違いは、藤井智子と共に冷凍されていた闇風美琴を解凍した事だ。
 藤井智子を冷凍したいのなら、隊員である闇風美琴を引離し、解凍すれば良かった物を、何故当時の政府がそうしなかったのか、私は長期間疑問に感じていた。しかし、先程、電子記録保管所で当時のデータを見てみると、せいふがそうしなかった理由が分かった。
 当時、政府は公にはしなかったモノの、大規模な計画を企てていたようだ。
 その名も、被験体一二番封印計画。
 このデータ内で、一二番というのは、闇風美琴をさしている。特別怪事件部隊の記録によれば、闇風美琴は二年間交番勤務だったらしい。しかし、それは政府が意図的に、闇風美琴に刷り込んだ偽の記憶だったらしい。偽の記録をより本物に近づけるため、ありとあらゆる場所にそれらしい偽造の記録を残していた。
 私は、被験体一二番封印計画を調べる過程で、とある研究員の日記をみつけた。
『四月六日。水曜日。午後二時三〇分。
 新しい実験体として、一四、五歳の少年が研究所に連れられてきた。
 彼の名は闇風美琴         

 四月七日。木曜日。午前三時〇〇分。
 闇風美琴の被験番号が決まった。一二番だ。
 実験も早速始められ、彼は強力な麻酔で眠りへ落ちた。
 血管よりも細く、そして短い特殊な棒を、脳のいたる箇所へ射し込む。
 何らかの障害が出る可能性も、実験の進み具合によっては高くも低くもなるだろう。
 同日。午後六時二五分。
 実験は無事成功。

 五月七日。土曜日。午後五時
 一二番の実験後の様子は、いたって正常。
 これより実験の第二段階へ移行する。
 脳に射し込んだ特殊な金属棒、覚醒促進棒が十分脳に馴染んだのを見込んで、そろそろ長野力テストを行おうと思う
 
 五月八日。日曜日。午後八時九分。
 脳からの指令を逸早く身体の各所へ届ける為、彼の全身の神経を、修復、強化した。
 彼は、訓練もしていないのに、特殊能力を身につけた。
 私達は、それを、衝撃を吸収、蓄積、解放する能力(インパクト・ダム)と呼んでいる。

 一二月二二日。木曜日。午後九時〇〇分。
 私は研究所をクビにされた。
 一二番の事で、私が異論を唱えた次の日の事だった。
 私達は、人間の手に負えないモノを作ってしまった。
 一二番が完全に覚醒すれば、不死身ですら殺す事の出来る程の、大規模な爆発。
 いや、新たな宇宙を創り出す、ビッグ・バンを起こしかねない。
 政府は、今すぐにでも一二番を冷凍する必要がある。              』
 日記はこれで終わっている。
 これを始めとする数々の記録からするに、当時の科学研究所は、宇宙を作り出せるほどの力を持った人間を作り出してしまった。いや、神を作り出してしまったといっても過言ではない。
 兎に角、闇風美琴は、危険な存在なのだ。
 しかし、何が原因でビッグ・バンを起こすのかは分からない。
 完全な覚醒とは何なのか、それを、私は追求している。
 それに、本当にビッグ・バンなど起こせるのだろうか、彼の妄想に過ぎない可能性も否めない。
 闇風美琴は、「俺に任せろ」と言って単独行動をとり、戻ってこない。
 そんな時、
「闇風美琴が、藤井の許へ向かいました!」
 と、研究員の一人が大声を上げた。
「あのバカ!」
 一体、一人で何をしようというのだろうか。この状況では、闇風美琴が何切っ掛けでビッグ・バンを起こすかも分からない。
 携帯電話を取り出し、彼に持たせておいた携帯電話に掛ける。
『どうした?』
 と、呑気な声で彼は電話に出た。
「どうしたじゃない! 何を考えているんだ! 一人で挑むのは無謀だ!」
『いや、大丈夫だ』
「は!?」
『思い出したんだよ。俺、色々と脳弄られてさ。挙句記憶の捏造まで・・・・。ま、兎に角、被害がこれ以上にならない様に、今度もまた、俺ごと藤井を消しますから。心配しないでください』
 ブツン――――。と、電話は切れた。

  代終ノ回 歪ミ
 携帯電話を投げ捨て、俺は藤井を捜す・・・・までもなく、藤井は其処に立っていた。
「また、あなた? 今度も、一緒に氷漬けになる?」
「生憎、俺はもう氷漬けにならねぇよ。お前もな、今度は、氷漬けじゃなくて、消えるだけだ」
 藤井は、理解できないというような顔を浮かべて、そのまま俺に襲い掛かってきた。
 ドス。と、ナイフだか短刀だかが俺の腹を貫く。
 腕に、精一杯の力を入れて、藤井を離さない様に抱き、そのまま――――――――――――――――――――。
「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇!」
 言葉にならない叫び声を上げ――――。


 その日、山岳地帯にあった研究施設は、山ごと消えた。
 その衝撃波は、世界中を巻き込み、ありとあらゆる建物が崩壊し、大津波の発生、火山の急激な活動、大地震等の自然災害も多く発生した。
 地球上の人口は一気に減り、再び豊かな自然が戻りつつあった。


第漆ノ怪 MIKOTO 終
Date: 2011.04.26 Category: 百物語  Comments (3) Trackbacks (0)

第釟ノ怪 黒イ世界ノ中デ

  代前ノ回 事ノ始マリ
 静かなる早朝の一時。冷房で冷えた部屋で、静かな朝を過ごすのが、俺は好きだ。しかし、その静寂は、叫び声と共に終焉を迎える。
「起きろぉぉぉぉおおおお!」
 と、叫び声と共に俺の部屋に乗り込んで来たのは、妹の龍華。相変わらずウザったい。
「まず黙れ。俺の静寂な一時をよくも奪ってくれたな」
「いーじゃん別に。どうせ朝なんて死ぬまで毎日あるんだから!」
「明日死ぬとしたらこれが最後かもしんねーだろうが!」
 まあ、過ぎた事でだーだー言うのも、疲れる。
「んで、朝っぱらから何の用だ」
 ボサボサになった頭を掻きながら聞くと、
「いや、今すぐって訳じゃ無いんだけど・・・・」
 と、龍華は勝手に俺の椅子に座って言った。
「じゃあ何で今起こすんだ!」
「忘れないうちに話そうと思ったんだっての!」
 朝から五月蝿い奴だ。俺もだけど。
「で、今夜肝試しに付き合ってもらえないかなーって・・・・」
「あ? 肝試し? 勝手に行ってこい」
 妹の友達と顔を合わせる兄の気持ちが分かるか? かなり嫌だぞ。ムカつくし。
「ダーメーなーの! 私お化けとか嫌いだし! 一緒に行く男子も頼りないんだもん!」
「五月蝿い! 俺は今日一日寝て過ごすと決めたんだ! 昨日のプールでどんだけ疲れたと思ってんだ!」
 実は昨日、親戚のガキンチョを連れて市民プールで半日以上泳がされたのだ。
「いーじゃん! ちょっとだけだからさー。ね、お願い」
「肝試しって、何処行くんだよ」
「あの、昔火事があって封鎖されたまま廃墟になった病院」
「・・・・ああ、三白総合病院か」
 三白総合病院は、かなり大きな病院で、外科、内科、耳鼻科、皮膚科、精神科、脳外科等々、様々な分野においてかなりの技術を有していた病院なのだが、手術の失敗を逆恨みする者に放火され、当時入院中だった患者の四分の三、従業員の三分の二が死亡するという事件のあった病院でもある。
 それ以降、病院は封鎖され、取り壊されるでもなく、建て直すでもなく、何故か延々と残っている病院だ。長年風雨に晒され、外壁に罅が入り、窓ガラスは割れている。
 人の叫び声や、白い服の女、心霊写真等の、怪現象的なモノの噂も多い。
 病院の中には、死んだまま未だ見つかっていない患者や従業員の死体があるとも噂されている。しかも、病院の中には、運よく燃えなかった患者のカルテ等も残っていると言われている。
「止めとけ。お遊びで行く所じゃないだろ」
「遊びじゃない! 友達を探しに行くの!」
「友達?」
 と、龍華は真剣な顔で語りだした。
 先月、七月の初めの事だという。クラスメイトの美由紀ちゃんが「三白病院に行ってくる」と言ったきり、行方不明らしい。何でも、警察ですらあの病院はまだ調べていないらしい。
「お願い! 協力して下さい!」
 手を顔の前で合わせ、必死に俺に協力を要請する龍華。
「・・・・」
 少し考えて、
「分かった」
「本当!?」
「ああ。だが何時からだ?」
「えっと、夕方」
「午前中は駄目なのか?」
「都合が合わなくて。午後からなら皆来れるって」
「皆って、何人だ?」
「えっと、うちのクラスメイトのうち美由紀以外だから、えー」
 たった1引くだけの計算に30秒程費やして、
「私入れて30人ぴったり」
「多っ!!」
 多すぎだろ。ってか一人捜すのにクラスメイト全員ってどんだけ団結力強いんだよ。
「ほんじゃ、準備するか」
「準備?」
「ああ、夏だしな」
「?」
 首を傾げる龍華。
 さて、この季節虫除けは必需品だ。水筒。懐中電灯。携帯食(カロリーメイトな)。これ位で十分だろう。
「ん、最低でも水筒と虫除けは持ってこいって皆に伝えとけ」
「りょうかーい」
 本当は変な所に関わるのは、昔実体験があるだけに止すべきなんだろうけど、行方不明者が出てるとなるとな。
 龍華は知らないんだよな、俺の上に更に三つ上の姉貴がいる事・・・・。

  代前ノ回 事ノ始マリ 終
Date: 2011.05.08 Category: 百物語  Comments (1) Trackbacks (0)

すまん、小説のデータがパーになった。

なんで、この話は打ち切り・・・・
別の話を準備します
Date: 2011.06.15 Category: 百物語  Comments (2) Trackbacks (0)

久々の



代中ノ回  アンゲル
 
 俺の家族、つまり闇風家は当然父と母がいて、俺―竜―、妹―龍華―となっているが、龍華がまだ胎内にいた頃は、俺の上にもう一人いた。
 姉がいたのだ。
 名を霧画という。
 当時、俺が十歳で、霧画は十二だった。十四年経つので、もし霧画が生きていれば二十六になっていた筈だ。
 霧画は死んだ事になっている。
 ある時、俺と一緒に行方不明になったのだ。
 二人だけで、あの暗い、まるで闇に包まれた暗黒そのモノのような所で――――。

「オッケ。全員揃った」
 例の病院の前に全員集合。
「あっそ。俺は病院の周辺ウロウロしてっから、何かあったら呼びな」
「一緒にいかないの!?」
「当然。俺は暗所恐怖症なんだよ」
「そうだった。オッケ、んじゃ、万が一何かあった時だけ来てちょーだい」
「そうさせてもらうよ」
 そう言って、龍華率いる一団は病院へ入って行った。
「何も無ければいいんだがな」
 兎に角、俺は病院の裏へ回ってみる。
「…………」
 何か、ヤバいモノ見つけた
 古い井戸。
 ただの井戸であれば、それは『病院を造る時に、取り壊さずにそのままにされた井戸』だろう。
 しかし、これは違う。
 井戸に、人骨が腰かけていた。
 ボロボロの衣服を纏って。
 井戸を覆う屋根を支える柱を背もたれにして。
 まあ、確かにビビるが、下手に近づいたり触らなければ大丈夫だろう。
 火事の時にここまで逃げたが死亡。それ以降ここにずっと腰かけていたのだろうか。
「――――」
 俺は一応、手を合わせた。
 ご冥福をお祈りお祈り致します。
「しかし、警察が入った時に何で回収されなかったんだ? やっぱ、今から警察に連絡した方がいいのか」
 警察に届けた方が良いにせよ、悪いにせよ、それは後だ。
 今は行方不明の子の捜索が先決――――
「!」
 俺が踵を返そうとした瞬間だった。
骸骨が立った。
「な!」
 骸骨はゆっくりと距離を縮める。
「丁度良かった」
 喋る!? こいつ、喋ったぞ!!
「ビビるな人間よ。我はこれでもとある一団の長だ」
「一団の長?」
 外国軍団か何かの団長か?
「我は古より【闇封石(ヤミフウノイシ)】を探す探索隊、『アルベイン』の長なり」
 何なんだコイツ? アルベイン? 闇封石? 何の事だ?
「ちょ、待て。何が起こってるのかさっぱり分からん。何故骸骨なんだ? 古よりって何時からだ?」
「現代の人間はあの頃を知らんのも仕方がない事。一から説明しよう。長くなる故、お主の家へ案内せい」
 俺の家だと!? まあ、誰もいないからいいけど。
「仕方ない。少し待ってくれ」
 俺は携帯を取り出し、龍華に『用事が出来たので先に帰る』とメールした。
「おお! 知っているぞ! それは確か、ポケベルという奴だな! 西洋の人間どもも使っていたな!」
「違うわ! 携帯電話だ! ポケベル何か俺も見た事ねぇよ」
 ! しまった。何時も龍華に突っ込んでいる癖で、骸骨に突っ込んでしまった。
「違うのか? 我にはさっぱど分からん」
 コイツ、方言と標準語が混ざってやがる。東北辺りで日本語学んだのか?
「兎に角、妹に連絡しただけだ。俺ン家行くんだろ? ついて来いよ」
 そのご、成るべく人目につかない様に、家々の間や、マンションの裏などを通って、やっと自宅のある通りに出た。
 あとは此処で誰にも出会わない事を祈――――
「あら、お散歩?」
 近所のおばさん登場!!
 ヤバい、この骸骨見られたら騒がれる!
「この位の時間は夕日が奇麗よねぇ。じゃあね」
「え、ええ」
 !?
 骸骨が見えないのか?
「何をビクビクしている。我はお前以外の人間には見えないぞ」
 !
 なら早く言えよ!
 見られまいと滅茶苦茶遠回りしたってのに!!
「はぁ、まあいい。ここが俺ン家だ」
「ほぅ。これがあの縦穴式住居というやつか?」
「違うわ! いったい何時の話をしてるんだ!! 縦穴式住居なんかもうねぇよ!」
 コイツの知識はどうなってんだ?
 





―リビングにて―
「では、話すとしようか」


「――――今が2011年か? ならばあれはもう7000年以上昔となるか。
 かつて、今で言うヨーロッパ辺りには『ゴールドグラウンド』と呼ばれる広大な平野があり、その平野の上には『ドライトレノン』という王国が栄えていた。
 ドライトレノンの国王は代々、【闇封石】を守っていた。この闇封石はこの世のバランスを確実に安定に保ち続けるモノで、これが国王の玉座から外されれば、世界は不安定化する。
 そしてある時、その闇封石が突如として失われたのだ。
「あ? それでも7000年以上世界は存続してるじゃないか」
 不安定化するのであって、直接、すぐに滅びるような事はない。
 この世界は今、バランスが崩壊する寸前まで来ている。
 我々アルベインは、その闇封石を探すように国王に命じられたのだ。
「骸骨のお前にか?」
 我々は『病谷』で死と生のバランスを保つ役目を担う死神なのだ。
 闇封石を扱えるのは我々死神と、王家の血を引く者のみ。
 王家のモノは、世の混乱の末、行方不明になった娘を除いて全員殺され、我々が探す事を余儀なくされたのだ。
「それであんた等が」
 そう。
――――と、こんな感じだな」
「成程。んで、何でお前が俺にそんな話をするんだ」
「うむ。アルベインも私以外、皆力尽きた。私ももう限界だ。そこで、お主に仕事を継いでもらいたい」
「あ! 俺がその石を探すのか!? 7000年も探して見つからないモノを探すのか!?」
「世界は日々変わる。大きさは1㎝ほどの球状の闇封石をこの広い世界から見つけ出すのは困難極まりないのだ! しかし、諦める訳にはいかないのだ! こうしている間にも、この世界は崩壊への一途を辿っている! 今までにバランスの不安定である【闇】に何人も呑まれた! これ以上被害者は出せないのだ! 我々の仕事を受け継いでくれ!」
「だけど、俺にどうしろと? 一般の大学生だぜ? 出来る事なんて限られてる」
「心配ない。お前には私の力を与える。その力を使って闇封石を探すのだ」
「待て! 力があるならお前がやればいいだろ!」
「私にはそれを使うだけのエネルギーがないのだ。今出来ることと言えば、力を他者に譲る事と、人間の体を乗っ取り、力を継いだ者に同伴する事くらいしかないのだ!」
「俺以外に適任はいないのか?」
「ああ。闇に呑まれたお前だからこそ適任なのだ」
「! 俺が闇に呑まれた事しっているのか?」
「ああ。だから『丁度良かった』のだ。私の能力は通常の人間では扱えないが、一度闇を体験した者には扱える。そして、この世で闇に呑まれ、この世に戻ってきたのはお前一人。お前以外に適任はいないのだ」
 く…………。
 大学生活を捨てるか……。
 まぁ、それもいいか。
 ただ大学言って勉強して、誰の役にも立てないのなら、こうやって世界を救うってのもいいかもしれんな。
「……分かった。継ごうじゃないか」
「ありがたい! 恩にきる」
 言って、骸骨は、俺の肩に手を置いた。
「ぐ!」
 身体の中に力が流れ込んでくる。
 まるで、滝が肩に当たる様だ!
 骸骨が俺の方から手を離した瞬間、俺はその場に座り込んだ。
「大丈夫か」
「ああ。何だこれ!? 力が漲ってくる!!」
「どうやら力移しは成功だな。次は私の番だ」
「お前も何かやるのか?」
「私は、お前と共に闇封石探しの旅をする為の身体が必要だ。力をお前に移した以上。今の身体は長く持たない」
「身体って? 生きてる人間のだろ? 商店街へ行けば沢山いるだろ」
「案内しろ」
「おk」
 ―商店街『草原通り』―
「・・・・」
「どうした?」
「ムサイ男ばかりじゃないか」
「お前、もしかして女なのか!?」
「そうだが、何か問題あるか?」
「いや、見た目からは全く分からなかった」
「だろうな。ん、あの小娘がいいな」
 骸骨女が眼をつけたのは女子高生だった。
 帰宅中の、携帯電話をイジリながら歩いている女子高生。
「うん、あれにしようか。あのポケベルいじっている小娘」
「だから携帯電話だっての」
「まぁいい、少し待ってろ」
 骸骨女は、素早くその女子高生に近寄り、女子高生の腹目掛け、ジャンプした。
「!」
 そして、骸骨女はそのまま女子高生の身体に入った。
「くはっ」
 女子高生は携帯電話を落とした。
「・・・・」
 沈黙。
そして、そっと携帯電話を広い、それを物珍しそうにジロジロ見ながら俺の方へ寄って来た。
「どうだ? 良い身体だろ? この容姿であれば、旅でつかれたお主を癒す事もできるだろう」
 うわぁ、女子高生がこの話し方だとめっちゃ違和感あるなぁ。
「だけどよ、いいのか? 絶対失踪届だされるぞ」
「構わん。私がこの身体を得た時点で、この身体の元持ち主は存在しなかった事になっている」
「そんな独裁スイッチみたいな効果があるのか」
「どんくさいスイッチ?」
「のび太よ同じ間違えするなよ」
「誰だそ奴は?」
「いや、漫画の話だ」
「まぁいい。兎に角、服を用意せねば」
「別にこのままでも良くないか?」
「私が良くない。こんな風に足を晒すような恰好は嫌だ」
 ああ、もろミニスカだもんな、それ。
「服か……。服屋か……」
 近くにあったか? 
「少し待ってくれ。今探すから」
 携帯を取り出し、この付近に服屋(ユニクロとか)ないか検索してみる。
「駅の近くに大規模服屋があるそうだ。行ってみるか」
「そうしようではないか」
 駅の道中、神社で祭りが開催されていたので、そこで焼きトウモロコシを買って、二人並んで食べながら歩いた。
「ってか、お前名前あるのか?」
「私か? 私の名前は、えっと、確か……」
 少し考えてから、骸骨女(今はちゃんとした身体があるので実際は違うが)は言った。
「アンゲルだったか」
「アンゲル? ドイツ語と英語の天使がごっちゃになった様な名前だな」
「当然だ。今のヨーロッパで使われている言語は、ドライトレノンで使われていた言語が派生して出来たモノだからな」
「そうだったのか、元は同じ言語だったのか」
「そうだ。というか、私もお前の名前を聞いておらんぞ」
「あ? そうだっけ?」
「そうだ。私も名前を教えたのだ。貴様も教えるのが筋だろう」
「確かに。俺の名前は龍だ」
「龍……格好いい名前ではないか」
「褒めてくれてありがとよ」
 等と話しているうちに、目的の店に着いた。
 店の看板には『安心と安全の作業服からお洒落な洋服まで何でも揃っています!』と書いてある。
「……にしても、広いなこの店」
 世界中の服がここにあるのではないかと思うくらい大量の服が棚に陳列されている。
「どれもヒラヒラしたモノばっかだな。もっとこう、うごき易くて鬱陶しい飾りが無いのはないのか?」
「シンプルなやつって事か? だったら……」
 ツナギとかジャージか。なら作業服売り場だな。
 作業服売り場へ向かう途中(服屋なのに何故か)ある日曜大工用品売り場で、使えそうなモノ(アンゲル曰く、護身用)、つまりナイフや折り畳み式鋸、ロープ等々を買い揃えた。
「そうか、この国では拳銃の所持が許されておらんのか」
 等と云いつつ、アンゲルは電動ドリルを持って銃の構えを披露する。
「向こうの国、特に西部での撃ち合いは迫力はったぞ」
 そりゃそうだろ。コイツの言うアメリカもかなり前だろうし、そのころの西部ってマグナムぶら下げて酒場で撃ち合いやってた時代じゃねえか。
「まぁ、銃なんぞ、ドライトレノンの国衛騎士団には通用せんがな」
「騎士団?」
「左様。ドライトレノンを長年守っていた騎士団だ。闇封石が失われ、混乱が起こる前は難攻不落の騎士団と言われていたモノだ」
「へぇ、そんな強いのに国が滅んだんだ」
「まぁ、噂では騎士団が国を裏切ったとも言われているからな。また、騎士団の団長が失踪したという噂もあったな」
「噂なのかよ」
「私はその時、既に闇封石を探す旅を始めていたのだ。まさしく、風の噂程度の事しか知らん」
「あっそ」
「そうだ。ところで服はどこにある? 現代人はこの売り場にあるモノを使って自分で服を作るのか?」
「そんな訳あるか! ここは日曜大工用品売り場だ! 服は向こう!」
 全く。コイツはどうにも 現代 を理解していない。
 んで、作業服売り場。
「おお! これなんかいいではないか!」

 代中ノ回  終


どうでしたか? 久々の更新(小説記事に関して)でっせ!!
Date: 2011.08.24 Category: 百物語  Comments (0) Trackbacks (0)
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